「たんぽぽの綿毛の姉弟」

たんぽぽの綿毛の姉弟がいました。

 

旅立ちの時を迎えているのに、

弟が怖がって風に身を任せようとしません。

お姉ちゃんが励ましています。

「ほうら、大丈夫よ!風さんが来たら、

 風さんの絨毯に乗ればいいのよ。

 そしたらね、あなたの新しい家族をつくる

 ふわふわの大地が待っているの。」

「う~ん でも、姉ちゃん ぼく、怖いよ~~」

 

「何が怖いの?目を閉じてごらん。

 ほうら、想像してみて♪

 風さんの絨毯に乗ったら太陽さんに近くなるのよ。

 そしてね、鳥さんにもね。

 ふわふわ ふわふわ 

 飛ぶのってきっと気持ちいいに違いないわ!

 はじめて見るすてきな世界よ!ワクワクしない?」

「ふ~ん。そんなにワクワクするような

 ステキなことが待ってるの?」

 

「私にも、本当はわからないわ。だって、まだ飛んでいないのだもの。

 だけどね、間違いないのは、ここから見ていた世界の何倍もの

 まだ知らない世界を知ることになるのは、間違いないわね。

 あのね、私たちがたんぽぽの命の時間を生きるには、限りがあるのよ。

 限りのある時間なら、冒険しなくちゃ、もったいないと思うのよ。」

 

「ふ~ん そっか。でもな~ まだ、ちょっと怖い。。。」

「ふふふ。一人で飛ぼうとするからよ。

 大丈夫、お姉ちゃんが一緒に飛んであげるから。」

「ほんと?」

「もちろんよ。そのために私一人ここに残ったのよ。

 あなたが怖くて泣いていたの、知っていたから。」

「ありがとう。お姉ちゃん!もうぼく怖くないよ!」

「ようし!その調子!

 じゃあ、次に風さんが誘いにきてくれたら、

 二人でえい!って飛ぶよ~」

「うん!!」

 

二人は、風さんのお誘いに一緒に飛び、

フワフワふわふわ 

見える新世界にキャッキャと大はしゃぎをしながら、

ふわふわの大地を探して飛んで行きましたとさ。

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